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ユダヤ教 ━ ユダヤ教の食事規定「コーシェル」


 人類に共通していることは、どこの国のどんな人でも毎日の生活の中で食事をするということです。民族の特徴は、食事の習慣にもっともよく現れていると言ってもいいでしょう。ユダヤ人の食事についてご紹介しましょう。

 食事を語ることは、食事にまつわる戒律を語ることになります。どんな宗教も食べるときの礼儀作法の定めがありますが、ユダヤ教はこれに格別に重点をおいて複雑な一連の戒律を設けています。


ユダヤ教の食事についての律法の名称

食事の規定を守る理由

食事規定「コーシェル」とユダヤ民族

食品が「コーシェル」であるための条件

「コーシェル」でないものの名称

豚肉が「コーシェル」でない理由

植物と「コーシェル」

「コーシェル」を満たす屠殺の方法

肉と乳製品を一緒に食べない理由

「コーシェル」を満たす台所に、洗い場が2つ必要な理由

魚は肉の範疇に入るのか?

ブドウ酒(ワイン)と「コーシェル」

ユダヤ人が狩りを禁じられている理由

現代のユダヤ人は皆、「コーシェル」を守っているのか?

★『やさしいユダヤ教Q&A』(ミルトス)もご参照ください★

■ユダヤ教の食事についての律法の名称

 

 ユダヤ教では、食べてよい食物と食べてはいけない食物を定めています。この律法のことをヘブライ語でカシュルート(適正食品規定、食事規定)といいます。食べてよい食物のことを一般にコーシェルといわれますが、それはヘブライ語のカシェル(適正な)のアシュケナジー系の呼び方です。カシェルを「浄い」と訳すこともあります。

 ここではこれらの食事規定に関わる事柄を総称して、「コーシェル」という表記で統一します。ちなみに、英語で表記するとKOSHERとなり、「コーシャー」と発音されることもあります。

 食べてはいけない、つまりユダヤ人にとって宗教的に不浄な食物の例としては、まず豚肉があります。美味しいエビやカキ、タコ、イカも食べられません。牛肉はいいのですが、血の滴るビーフステーキもだめです。フランス料理のカタツムリも、鯛の活け造りも、親子丼もいけません。ユダヤ人でなくてよかった、と言う声が聞こえるようです。

 カシェルまたはコーシェルという用語は必ずしも食品についてだけでなく、ユダヤ教の礼拝用の祭具や衣類についても適切なもののことを言ったりします。


■食事の規定を守る理由

 

 食事法の理由として、古代社会の衛生意識の発達していない時代に人々の健康と衛生を守るためのものだったというのはよく言われることですが、これは推測で本当の理由でありません。近代の改革派ユダヤ教では、そのように唱える人もいないわけではないのですが、概してその説は受け入れられていません。

 聖書を見てみましょう。レビ記11章に、食べてよい生き物といけないものの一覧が載っています。では、なぜこの律法をイスラエル民族が守らなければいけないかの理由は、実ははっきり書かれていません。聖書は、律法を守るべき理由に、レビ記11章の結論としてこう述べているだけです。

 「わたしはあなた達の神、主である。あなた達は自分自身を聖別して、聖なる者となれ。わたしが聖なる者だからである。……わたしはあなた達の神になるために、エジプトの国からあなた達を導き上った神である。わたしは聖なる者であるから、あなた達も聖なる者となりなさい」(44-45節)

 そこで、つぎのような説明がされます(『現代人のためのユダヤ教入門』より)。

 「ユダヤ教は、ユダヤ人にモラルある民であり、聖なる民であることを命じている。人類は神の似姿として創造されたが、また動物でもある。……ユダヤ教は、人間の動物的行為を否定したり侮辱したりする代わりに、律法を通してこれらを聖化する。動物的活動の中でももっとも頻度の高い、食べる行為の品位を高めるために、数多くのミツバ(おきて)を規定している」

 ユダヤ人の食事は、律法で規定されています。まず、儀式的に手を洗うこと、その時祝祷を唱えること、食卓に就いて感謝の祈りを捧げること、食事中も話題はトーラーについて語られること、そして食後の感謝の祈りが必要です。この一連の規定の中で、適正食品規定(カシュルート)が要の役をしているわけです。

 人は食べたいものは何でも食べてよいというのでなく、食べ物に制限を付けて守れることこそ、人間が動物でない所以だとユダヤ教は考えるわけです。しかも、その制限理由が、神が命じたからそれを守るんだというとき、それ自体が宗教行為になります。


■食事規定「コーシェル」とユダヤ民族

 

 適正食品規定を守ることによって、ユダヤ民族のアイデンティティーが守られたことは確実です。コーシェルを守ろうとすれば、非ユダヤ人と一緒に食卓をかこめませんから、もっとも基本的な日常生活において他の民族と交流できません。長い離散の歴史の中で民族の個性を維持することができました。

 これは個人にとっても、日々自分の信仰を確認する行為になり、自己鍛錬になります。特に、宗教熱心なユダヤ人が外国に旅行するときには、食べ物に苦労することが多いようです。今では飛行機の機内食でも、コーシェル・フードを出してもらえます。ユダヤ人の少ない国、例えば日本では、ホテルに泊まっても食べられる物は非常に限られます。


■食品が「コーシェル」であるための条件

 

 レビ記11章によれば、動物についてはまず草食動物で(ライオンなど肉食類はだめ)、割れたひづめと反芻することが条件です。海や湖に住む生き物では、ひれと鱗のある物は食べていい。

 それで、最初に述べたエビ、カキ、タコなどはだめです。鳥については、食べていけない鳥の名、例えばハゲワシなどがあげられています。猛禽類や死肉を食べる鳥などはだめです。


■「コーシェル」でないものの名称

 

 聖書では、今述べた条件を満たした生き物でも、野外で獣に裂き殺された動物の肉を食べることを禁じています(出エジプト記22:31)。その裂かれたという意味の言葉「テレファ」が、一般的にコーシェルでない食物を指す言葉になりました。

 ユダヤ教では、屠殺にも厳しい条件があります。それに合格した肉でないと、食べることは許されません。不適切になった物は、テレファというわけです。また、自然に死んだ動物の肉も、コーシェルでありません。


■豚肉が「コーシェル」でない理由

 

 豚は汚い動物のように思われますが、元来きれい好きとか。人間が汚く飼育するにすぎないのですから、豚にとっては迷惑な話です。けれども、豚を衛生的にきれいに飼育しても、律法的には不浄な動物なのです。なぜなら、ひづめは割れていますが、反芻しないからです。


■植物と「コーシェル」

 

 植物については、特に制限はありません。


■「コーシェル」を満たす屠殺の方法

 

 血と関係があります。聖書の根本的思想は、血は命であるということで、血を食べる(または飲む)ことを禁じていることです(レビ記3:17、17章)。

 それに基づいて、タルムード時代のラビは生き物の肉を食べる前に、すっかり血を抜くことを規定しました。また、屠殺者は動物を殺す場合、もっとも苦痛の少ない方法で、一瞬に殺さなければいけなません。鋭い刃物を用い、頸動脈を一刀で処置します。

 屠殺専門家のことをショヘートといいますが、十分に訓練を受け資格試験を通る必要があります。そして、その動物に病気がないかどうか肉を検査します。検査員をマシュギアといいます。検査に合格して初めて、コーシェルと認められるのです。

 肉屋で、コーシェルの肉を買ってきて、さらに家庭で調理する前に、その肉を検査して残りの血を抜く最後の手続きをします。これは主婦の仕事です。


■肉と乳製品を一緒に食べない理由

 

 イスラエルのホテルの朝食は、よくビュッフェ・スタイルで日本人にも好評です。ところが、チーズやミルクが出ている代わりに、ハムやソーセージは絶対出ていません。もちろん豚肉がだめなのはわかりますが、牛肉やマトンのものならよさそうです。しかし、これも次の理由でだめです。

 聖書の中に、「子山羊を、その母の乳で煮てはならない」(出エジプト記23:19、34:26、申命記14:21)というおきてが3度繰り返して出てきます。それがユダヤ教のラビによって、一般的に拡大解釈されて、肉と乳製品を分けて食べるように規定されるようになりました。

 この規定は、さらに厳格になって、一方を食べたら、何時間か間をおかないと他方を食べることはいけないというルールまで登場します。

 先ほどの「子山羊を母の乳で煮る」というのは、マイモニデスという中世の聖書学者はどうも古代では偶像崇拝の儀式と関係があったのではないかと推測しています。


■「コーシェル」を満たす台所に、洗い場が2つ必要な理由

 

 これも肉と乳を一緒にしないという掟から、2種類の食物用に台所用具から食器まで区別します。ですから、洗い場だけでなく、お皿まで区別していて、洗うときに水が他方に飛び散らないように境もきちんとつくってあります。ここまでしないと本当のコーシェル・キッチンになりません。なんと徹底していることでしょうか。


■魚は肉の範疇に入るのか?

 

 魚は乳製品と一緒に食べていいそうです。


■ブドウ酒(ワイン)と「コーシェル」

 

 古代には、ワインは偶像崇拝によく用いられたため、ユダヤ教はワインの扱いには慎重であったようです。異教徒が触れたワイン、つまり異教徒が栓をあけたりしたワインは、使用禁止です(そのワインのことを、ヤイン・ネセフと呼びます)。

 今ではキリスト教もイスラム教も偶像礼拝ではないと認められていますので、その信仰の人たちがつくったワインも飲めるのですが、それでも厳格な正統派の人たちはそのようなワインを口にすることはありません。きちんとユダヤ教徒が育てたブドウからつくられ、醸造されたワインを使用します。

 ただし、ブドウ以外の果実酒については特別の規定はありません。ウイスキーもコーシェルの問題になりません。


■ユダヤ人が狩りを禁じられている理由

 

 コーシェルの動物でも狩人(ハンター)が殺した物は、出エジプト記22:31の規定で、テレファ、つまり裂かれたもの、不浄なものと見なされています。食用に供するためには、殺さず、傷つけず捕獲しなくてはなりません。また、タルムードは遊びやスポーツとしての狩りを強く非難しています。

 コーシェルのおきては、動物に対する残虐行為を禁じています。元々、聖書は菜食主義が理想で(創世記1:29)、やむを得ず人間に肉食を許したという前提に立っています(創世記9:3-4)。ユダヤ教のモラルの高さがうかがえるおきてです。生命の尊厳を重視するのは、ユダヤ教の精神です。


■現代のユダヤ人は皆、「コーシェル」を守っているのか?

 

 近代のような開かれた時代、しかも食文化においてもグローバル化している時代に、コーシェルの規定を守るのは容易でありません。かなりの自己規制を要しますから、宗教的動機で裏付けられているユダヤ教徒でないと、なかなか正式には実行できないと思われます。

 正統派ユダヤ教徒は別として、イスラエルでもすべての食事規定を守っている人はそれほど多くありません。それでも、基本的には豚肉を食べないとか、肉と乳製品は別にするとか、ごく自然に実行されている食習慣になっていると言っていいでしょう。

 コーシェルは、ユダヤ教以外の世界にあって、もっともユダヤらしさを象徴するミツバ(おきて)でしょう。すでに触れましたように、外国を旅するユダヤ人旅行者が、一番苦労するのは食事でしょうし(現代のイスラエル青年は除外)、逆にコーシェルをとおして旅先の地のユダヤ人と一体感を覚えると言います。

 イスラエルの社会では、大概のしっかりしたレストランはラビが認可したコーシェル・レストランです。一流のホテルは、すべてコーシェルに適うように運営されているのは言うまでもありません。コーシェル料理といい、安息日の休日といい、異邦人には不便でしょうが、それはそれで、ユダヤ教らしさを体験するのもイスラエル旅行の興味の1つですね。