へブライ語聖書対訳シリーズ10 『申命記2』オンデマンド版
ミルトス・ヘブライ文化研究所 〔編〕
申命記17〜34章を収録。旧約聖書の原典に、初学者でも親しむことの出来るヘブライ語=日本語逐語訳聖書。
【オンデマンド版】=品切れになっていましたが、オンデマンドという少部数印刷方式で増刷が可能になりました。
へブライ語聖書対訳シリーズ刊行の言葉
聖書は日本においても隠れたペストセラーとして、これまで幾多の邦訳聖書が刊行され、読み継がれてきた。さて、聖書というとき、原典はギリシア語で書かれた新約聖書と、へプライ語で書かれた旧約聖書(一部はアラム語)より成り立っている。
その翻訳の歴史は、古くは聖フランシスコ・ザピエルが1549年に持参した邦訳『マタイ伝』の一部にさかのぼるといわれ、最近では1987年に新共同訳が完結した。先人たちの努力による、翻訳という大変な難事業を通して、聖書への道が我が国にも拓かれてきたのである。
ただし、聖書に限らず、一般の文学や古典にも当てはまることだが、翻訳を幾種類か読み比べるとき、だれもが戸惑う経験がある。それは、あたかも異なった原文から訳出されたかのような意味合いを持つ翻訳箇所に、しばしぱ出会うことである。
しかし、いかに立派な翻訳であっても、翻訳が原典のもつニュアンスをすぺて、また正確に伝えるのは不可能に近い。
すでに、紀元前2世紀に書かれた旧約聖書外典の『シラ書』が、次のように語っている。
「我々は、懸命に努力したのであるが、上手に翻訳されていない語句もあると思われるので、そのような箇所についてはどうかお許し願いたい。というのは、元来へプライ語で書かれているものを他の言語に翻訳すると、それは同じ意味合いを持たなくなってしまうからである。この書物だけではなく、律法およぴ他の書物でさえも、いったん翻訳されると、原著に表現されているものと少なからず相違してくるのである」
したがって、熱心な読者がより深い理解を求めて、翻訳から原典に直接触れることを望むのは、しごく当然であろう。
もちろん、原典への道は容易ではない。とりわけ、ヘブライ語のような馴染のうすい古典語で綴られた旧約聖書の場合、原典講読はごく少数の専門家