障がい児と家族に自由を ―― イスラエルの支援施設シャルヴァの夢
カルマン・サミュエルズ〔著〕 徳留絹枝〔訳〕
著者カルマン・サミュエルズの長男ヨシは、生後11カ月で受けた欠陥ワクチンにより視聴覚を奪われ、沈黙と暗黒に閉じ込められた。ある日突然障がい児の親となり、当事者の子供とその家族の生活の困難さを知ったカルマンと妻マルキ。だが彼らは、家族を襲った悲劇を乗り越え、思いもよらなかった夢を持つことになる。
家族みんなが質の良い生活を送りながら障がい児を育てるために。そして、障がい児が自分に可能なあらゆる目標を達成するために。
この2人の夢は、「障がい者支援施設シャルヴァ」として結実した。近所に住む数人の障がい児を預かる放課後教室だったシャルヴァが、世界有数の施設に成長する道のりは厳しく、辛い試練の連続だった。ここに至るまでの苦難、挫折、そして家族に話せぬ本音まで、著者がその時々に味わった日々を飾らずに書き綴った。
シャルヴァの夢はこれからも続く。真にインクルーシブな世界を目指して。
漫画家・田中マコトさんのシャルヴァ訪問漫画
2021/6/24 エルサレム・ポストの記事で紹介されました
2021/7/1 ISRAERUの書評で紹介されました
―― 目次 ――
はじめに
第1章 子供時代
第2章 エルサレムへの道
第3章 新しい世界
第4章 仲 人
第5章 沈黙と暗闇の中で
第6章 ニューヨーク
第7章 彼自身の尺度で
第8章 約 束
第9章 救急医、神秘、そして食事
第10章 H医師からの手紙
第11章 帰 国
第12章 世界との繋がり
第13章 約束を果たす時
第14章 やっと落ち着いた生活
第15章 同時進行する二つの生活
第16章 恩返しの方法を探して
第17章 法律の迷路に入り込んで
第18章 ゴリアテ躓く
第19章 ダイヤモンドは永遠に
第20章 心の平安
第21章 正義、法律、そしてそれを隔てるもの
第22章 開かれた扉
第23章 不屈の精神
第24章 息抜きプログラム
第25章 シャルヴァを閉めたい
第26章 ヨシと共に成長
第27章 ワクスマン一家
第28章 「カルマン、これは明白よ!」
第29章 ナフションの家
第30章 お母さんと一緒
第31章 二足のわらじ
第32章 ボルボ
第33章 ヨシの成長
第34章 フォレスト・ガンプ
第35章 ネットワーク拡大を目指してさらに前進
第36章 専門家と共に
第37章 打率一〇割
第38章 爆弾と爆弾発言
第39章 経費の支払い
第40章 高くついた無料の土地
第41章 再び訴訟の迷路に
第42章 前進
第43章 エルサレムよ、われらの足はあなたの門のうちに立っている
第44章 ボローニャ
第45章 予期しなかった安全確保
第46章 歯科と口腔衛生
第47章 羊と預言者
第48章 開園に向けて
第49章 シャルヴァ・バンド
第50章 インクルージョンと逆インクルージョン
第51章 夢見るヨセフ
謝辞
邦訳版・著者特別インタビュー
用語解説
訳者あとがき
〔著者紹介〕
カルマン・サミュエルズ(Kalman Samuels)
1951年バンクーバー生まれ。障がい者への包括的ケアを提供するイスラエル団体「シャルヴァ」の設立者・代表。ユダヤ教ラビ。シャルヴァは障がい者ケアの分野で世界的に指導的立場となり、国連経済社会理事会の公式コンサルタントを務める。バルイラン大学名誉哲学博士。エルサレム在住。
シャルヴァ公式サイト
〔訳者紹介〕
徳留絹枝(とくどめ きぬえ)
イリノイ大学政治学部、シカゴ大学国際関係論修士卒。「ユダヤ人と日本」サイト管理者。
著書
『忘れない勇気』
『旧アメリカ兵捕虜との和解――もうひとつの日米戦史』
訳書
『記憶―ホロコーストの真実を求めて』(ラウル・ヒルバーグ著)