イノベーションの国イスラエル ―― 世界を変えた15の物語
アビ・ヨレシュ 〔著〕 横田勇人 〔訳〕
なぜイスラエル人は数多くのイノベーションを成功させているのか。世界がその秘密を探っている。
一般的によく言われることは、高い技術力を持ったロシア系ユダヤ人が多数移民したこと。ハイテク軍事技術が民間で転用されること。イスラエル政府が国策として起業家を資金面で支援してきたことである。
だが、著者アビ・ヨレシュは、こうした外的な環境だけではなく、「行動規範を導いているイスラエル文化の本質」こそがその答えだという。
本書は、農業、医療、エネルギー、軍事など様々なジャンルにわたる15のイノベーションを紹介する。焦点は技術そのものではなく、その開発者たちだ。易々と成し遂げられたものは1つもない。皆それぞれの苦難を乗り越え結実した。
彼らの発想の原点から、どのように成功へと導いたのかを描いていく。個々に違った分野のストーリーだが、それを貫いている「ゼロからイチを創り出すパワー」の秘密が見えてくる。
―― 目次 ――
序章 光あれ
第一部 宗教心を持つ国
第1章 イスラエルのDNA
第2章 無関心でいられないユダヤ人
第二部 世界的課題への挑戦
第3章 ウーバー救急車
第4章 農業を変えた一滴の水
第5章 リアル世界の鉄人
第6章 現代のヨセフ
第7章 太陽を資源に
第三部 善意のテクノロジー
第8章 立って歩め
第9章 脳のためのGPS
第10章 黄金の防火壁
第11章 飲むカメラ
第12章 背骨を透視する眼
第四部 小さな国の大きなビジョン
第13章 究極の絆創膏
第14章 神との契約が生んだ薬
第15章 麻薬を医療に
第16章 天と地の調和
第17章 絶滅種の復活
第18章 高潔であれ
謝辞
巻末付録 イスラエルの主な世界への貢献
原書注
訳者あとがき
〔著者紹介〕
アビ・ヨレシュ(Avi Jorisch)
起業家として長年活躍する一方、中東専門家としても知られる。米外交政策評議会(AFPC)上級研究員。安全なクレジットカード決済のシステムを提供するIMS社の創業者。アラブ世界やイスラム過激主義、テロ対策、違法金融の国際的な動向調査を専門とし、米財務省と国防総省での勤務経験もある。米ビンガムトン大学で歴史学を学び、イスラエルのヘブライ大学でイスラム史の修士号を取得。エジプトのカイロ・アメリカン大学とアズハル大学でアラビア語とイスラム思想を学んだ。ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、フォーリン・アフェアーズ、フォーブス、アルアラビーヤ電子版などに寄稿している。
著者公式サイト
〔訳者紹介〕
横田勇人(よこた はやと)
1965年大阪府生まれ。88年、大阪大学文学部卒業。同年、日本経済新聞社に入社。文化部、国際部、カイロ支局、テレビ東京報道局、津支局などに勤務。現在、東京本社編集・国際報道センター部次長として英フィナンシャル・タイムズの翻訳業務等に従事。著書に『パレスチナ紛争史』(集英社新書)。